2010年9月15日水曜日

足らないと感じる心が足らない。

初対面の人に仕事を聞かれて薬剤師と答えると、だいたい同じ反応が待っている。
・安定職だね。就職困らなくて良いね。
・給料良いんでしょ?
・国家資格!!頭良いねー。
…これが、医療界以外の人から見た薬剤師のイメージなんだろうか。
因みに、研修医である幼馴染も同じようなことを言っている。

確かに就職口には困らない。
製薬メーカー志望以外であれば、就職活動なんてものはほぼ必要ない。
就職して4年目の今も“うちに転職しませんか”DMがしょっちゅう来る。
確かに給料は悪くはない。
…世間一般に思われているほど良くもないが。パートのおばちゃん達が効率良く稼ぎすぎてるせいで、やたら高給のイメージだw
確かに薬剤師は国家資格である。取得のためにかなり勉強もした。今までの人生で、間違いなく大学生活が一番忙しかったし大変だった。
頭の良さなんて関係ないとは思うけれど。

どれも間違ったイメージではない。

でもなんというか、現実的すぎるし、表面的すぎるし……
どうしてそうなってしまうのだろうか。

薬剤師になるには薬学部に入らなければならない。
そのため、薬学部の学生は入学の時点でほぼ全員が薬剤師になる気でいる。(稀に医学部の仮面浪人がいたりするが。)

なので、入学当初の講義やオリエンテーションでは、“なぜ薬剤師になりたいのか”“自分のイメージする理想の薬剤師像”などについてのディスカッションがかなり多く設定されていた。

中には、バッサリ安定職だから。国家資格が取れるから。と言い切る人もいたw
けれど多くの人は少なからず夢のある発言をした。
そして圧倒的に薬剤師を身近に感じている人が多かった。
実際、仕事をしていると、難治性疾病の青年から“薬学部に入ったんです!!”なんてキラキラの目をして語られることも多い。
そして私も幼い頃から薬剤師を身近に感じていた1人である。

それがだ。就職すると状況は一変する。
大半の薬剤師が、安定職で、そこそこの給料を貰い、生活に困らない、という現実に満足しているように私は思う。
仕事にかける情熱とか、夢とか、そんなものは欠片も感じられない人が多いのだ。
正直、私もその波に飲み込まれそうになったことが何度もある。


でも、いつもどこかに違和感を感じるのだ。それで良いのかと。

今年5月、スポーツファーマシストの資格取得に必須の講義を受けた。
もちろん、スポーツファーマシストにも、スポーツにも、ドーピングにも、興味があったので受講したわけだけど。
もう一つ。
知りたかったのだ。
日本全国からわざわざ東京まで講義を受けに来る薬剤師はどんな人達なのか。
就職しても夢を失わずに走ってる薬剤師が沢山いるのかどうか。

そこで出会った人達は、皆貪欲だった。好奇心の塊。
嬉しかった。そしてなんだかホッとした。

具体的な夢を持ってる人達もいたし、そこまでは無くても自分を成長させようという意志がしっかり現れている人達がいた。


世間のイメージは、薬剤師本人達が創りあげたものだと思う。
実際にそういう心で働いている薬剤師達は受け手にもそう見えるのだと思う。
そして一度出来上がったイメージってなかなか覆らない。壊れない。

でも。それだけじゃない人達も沢山いるんだよ、って伝えたい。

私も今はまだまだ具体的に夢は?なんて聞かれたら上手く答えられないと思う。
だけど、好奇心と向上心だけは失わないように。前を見ていたい。
そして精一杯相手のことを思って、真心を尽くして、日々業務にあたっていたい。

ちっぽけな一薬剤師の地道な努力が集まって、何かが変わったら素敵だなと思う。



最後に。
スポーツファーマシストの講義会場で、偶然にも同じ会社の後輩と大学の同期2人に会えたことは、涙が出そうになるほど嬉しかった。
自分の今いる環境も捨てたもんじゃないなと。

0 件のコメント:

コメントを投稿